一番の課題はマンパワー不足
健康を維持するためには自分の足で歩くことが大切です。しかし、高齢者の多くは足に何らかのトラブルを抱えており、中には介助がなければ歩くことができない人もいます。そのような事態になる前に、少しでも健康的な生活を長く維持できるようにと注目を集めているのがフットケアです。定期的に足の手入れを行うことによって、自分の足で歩く生活を保つことができるわけですが、現段階では課題もあります。
フットケアの課題と一口にいっても、「医療・介護に携わっている人たちの課題」と「高齢者の課題」の2種類あります。
まずは「医療・介護に携わっている人たちの課題」から見ていきましょう。実際にフットケアに携わっている人たちからは「専任の担当者がいない」「人手不足」「専門的な知識を持っている人がいない」といったマンパワー不足や、「時間が足りない」「設備が整っていない」などに対する意見が多くあがっています。これらの課題を解決するためには、状態が悪化する前に早期に発見・ケアすることが大切だとして予防を強化することはもちろん、研究会などに参加してさまざまな知識を獲得し技術力を向上させること、スタッフを育成して人材を増やすことなどが必要です。
一方、「高齢者の課題」は、「自己管理ができない」「継続して行うことが難しい」「認識不足」などです。これらの課題を解決するためには高齢者の自己管理が重要になってきますが、そもそも自己管理が上手くできていないから状態が悪化しているわけです。そのような人たちに自己管理を促してもすぐに改善できるとは考えにくいでしょう。まずは「なぜ足を労わることが大切なのか」、フットケアの重要性を高齢者に伝えるところからはじめましょう。フットケアへの関心が大きくなれば普段から自分の足の状態を確認してくれるようになります。些細な変化に気づくことができれば状態が悪化する前に対応できるため、簡単な手入れだけで済ませられるようになるでしょう。
ただでさえ、介護施設は人手不足で最低限の人数で仕事を回しているところも少なくありません。そのような状態ではフットケアに従事できる担当者を増やすのは困難です。しかし、専用機器を使わない単純なケアであれば一般的な介護士でも対応可能です。
今後も高齢者は増加していくと予想されています。今の状態では対応できないためフットケアの専門知識を持っているスタッフを増やすことが理想ですが、まずは予防の強化に力を入れ、それからスタッフの技術力の向上を目指していくしかないのです。
高齢者は足トラブルを抱えやすいのですが、それは小さな変化を見逃しがちだからです。年を重ねると神経細胞が減少し、神経伝達速度が低下してしまうためさまざまな感覚が鈍くなってしまいます。小さな痛みにも気づきにくくなるため、放置して状態が悪化してしまうのです。
フットケアには医療行為と見なされてしまう対応もあり、その場合は介護士では対処できません。しかし、医師の許可があれば介護士でも対応可能です。特に注意したいのは爪のケアです。事故につながらないように、安全な姿勢で爪を切るようにしましょう。
フットケア指導士の資格を持っていれば個々の抱えている足トラブルを解消するために症状に応じた指導を行うことができます。フットケアの需要が高まっている介護業界にとって、欠かせない資格のひとつとなっていくことでしょう。
足は第二の心臓とも呼ばれていますが、それは血液の50%が下半身に集まっており血流が滞ると身体全体に悪い影響を与えてしまうからです。全身に新鮮な血液が流れるように、ふくらはぎや足裏がポンプの役割を果たしているため、足の状態を良好に保ち血液の循環を良くすることが大切です。
フットケアは正しい手順で行わなければ効果は期待できません。ここではフットケアの正しい手順についてまとめています。フットケアを行うタイミングやマッサージの仕方など押さえておきたいポイントも紹介していますので、しっかり目を通しておいてください。
介護メディカルアロマ講座はIBCA協会が開催している講座のひとつです。介護に活かせるハンド・フットケアの基本知識と技術が学べます。まずはIBCA協会に登録しなければならず、入会金や年会費が必要ですが、フットケアに役立つ知識と技術が学べるとあって多くの人が受講しています。