足トラブルが多いのは高齢者ならではの理由があるから

高齢者の足トラブル

高齢者に足トラブルが多い理由とは?

足トラブルを抱えている高齢者は多い

足トラブルを抱えている高齢者は多い

65歳以上の高齢者の約7割は何らかの足のトラブルを抱えています。しかし、多くの人は小さな変化を見逃しがちです。そもそも自覚できていなかったり、「大したケガではないからそのうち治るだろう」と放置しているからですが、足に傷や腫れなどの病的な変化が見られる状態である足病変をそのままにしておくと取り返しのつかない事態になってしまいます。特に、自分の問題点を上手く伝えることができない認知症の人は、そのリスクがさらに高くなります。
高齢者は感覚が鈍くなっているため違和感があっても気づきにくく、また、「年齢だから仕方がない」「たかが魚の目」と放置してしまう傾向があります。強い痛みが伴うようならすぐに分かりますが、小さな痛みやかゆみなどは感じにくいのです。足のトラブルが重症化すると、壊死や壊疽が起こり、最悪の場合足を切断することになってしまいます。また、足にトラブルがあると下半身のバランスが悪くなるため、転倒リスクや歩行障害のリスクも高くなります。
高齢者に多い足のトラブルは魚の目やタコ、爪のトラブルといった一般的なもの以外にも、皮膚の表面を覆う角質層が分厚くなって肌トラブルを起こす角質肥厚、足の指が変形するハンマートゥなどもあります。

高齢者ならではの理由

高齢者に足のトラブルが起こりやすい5つの理由を見ていきましょう。
1つ目は「加齢による筋肉や骨の衰え」です。年を重ねると筋肉や骨が衰えてきます。走ったり、蹴ったり、飛んだりなどの動作が鈍くなります。また、骨を支える筋肉も衰えてくるため骨が変形したり、圧迫されたりして姿勢が悪くなりがちです。高齢者といえば腰を曲げた姿をイメージする人も多いのですが、これは前足に重心がかかって前傾姿勢になりやすいからです。
2つ目は「加齢による神経細胞の減少」です。高齢になると脳の指令を伝達する神経細胞と神経伝達物質が減少します。その結果、神経伝達速度が低下し、視覚や聴覚、触覚などさまざまな感覚が鈍くなります。平衡感覚も不安定になるため、めまいを起こしやすく、瞬間的な運動が難しくなります。
3つ目は「加齢による皮膚の変化」です。年齢とともに皮膚にハリを与えるコラーゲンが減少してきます。足には足底腱膜と呼ばれるコラーゲンが綱状構造となったものがありますが、これが減少してくるため歩くのが難しくなってしまいます。
4つ目は「加齢による動脈や静脈の劣化」です。動脈が肥厚して動脈硬化を起こすと、下肢の血流が減少するため、小さな傷から足の壊死や壊疽を起こす可能性が高くなります。またリンパ系の機能が低下しむくみやすくなります。
5つ目は「慢性疾患の影響」です。高齢者はさまざまな持病を抱えていますが、慢性疾患は足病変の原因になることも少なくありません。特に、糖尿病や心疾患、関節リウマチは合併症を併発しやすいため、小さなケガに気づきにくくなったりします。

フットケアの知識を身につけたい人におすすめ

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    高齢者は足トラブルを抱えやすいのですが、それは小さな変化を見逃しがちだからです。年を重ねると神経細胞が減少し、神経伝達速度が低下してしまうためさまざまな感覚が鈍くなってしまいます。小さな痛みにも気づきにくくなるため、放置して状態が悪化してしまうのです。

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    フットケアには医療行為と見なされてしまう対応もあり、その場合は介護士では対処できません。しかし、医師の許可があれば介護士でも対応可能です。特に注意したいのは爪のケアです。事故につながらないように、安全な姿勢で爪を切るようにしましょう。

  • 「フットケア指導士」

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    フットケア指導士の資格を持っていれば個々の抱えている足トラブルを解消するために症状に応じた指導を行うことができます。フットケアの需要が高まっている介護業界にとって、欠かせない資格のひとつとなっていくことでしょう。