安全に爪を切る姿勢とは?
爪きりは場合によっては医療行為と見なされることがあります。もし医療行為と見なされてしまったら介護士では対応できないため医師や看護師が行うことになります。ただし、医師が「治療の必要がなく本人の容体が安定している」と判断した場合は、介護士が爪を切ったり、やすりをかけたり、グラインダーで角質を除去したりしても医師法に違反することはありません。介護士ができるのは、巻き爪の予防的ケアや皮膚の乾燥ケア、足の角質肥厚の予防的ケア、足部の清潔ケア、などです。
分かりやすく説明すると、「爪そのものに異常がない」「爪の周囲の皮膚が炎症しておらず化膿もしていない」「医療従事者が専門的に管理する慢性疾患がない人」などの場合は、爪切りなどのフットケアを行うことができる、ということです。介護士ができるかどうか判断に迷う場合は、看護師や医師に確認してから行うと間違いはありません。
次に、爪切りを行う際に必要な道具と姿勢について見ていきましょう。まずは準備するものですが、必要なのは「爪切り」と「やすり」です。やすりはフットケア専門のものがあるのでそちらを用意するといいでしょう。
注意したいのは爪切りを行う際の姿勢と位置です。手の爪は介護士の腕で高齢者の腕を巻き込んでしっかり固定してから行います。認知症の人は固定されることに抵抗感を覚えて激しく動くことがあるので注意しましょう。視線は自分の爪を切る角度と合わせます。
足の爪はまずは椅子やベッドに座り、足底が床につく状態で切ります、介護士は足元にしゃがむか低い椅子に座って行いましょう。ももの上に高齢者の膝から下を乗せ、ももと腕で足を固定します。視線は手の爪を切る時と同じように、自分の爪を切る角度と合わせます。見やすいように、と向き合った姿勢で行う人もいますが、それだと死角が多くなってしまうため、かえって切りにくくなります。
また、足先だけを持ち上げる人もいますが、その姿勢だと高齢者が後ろに倒れやすくなってしまいます。不安定な姿勢にもかかわらず、介護士は足先しか見えません。倒れそうになっている様子にも気づきにくいですし、転倒を防ぎにくい場所に位置しているため大事故につながってしまう可能性があります。
爪切り時は高齢者本人に説明して同意を得てから行うようにしましょう。爪と皮膚の重なりに注意しながら白い部分を1~2mm残すようにして切っていきます。角を四角く切るようにすると巻き爪防止にもなります。ある程度の長さまで切ったらやすりで仕上げます。間違って皮膚を切ってしまったり、爪を切り過ぎたりしないように注意しましょう。
高齢者は足トラブルを抱えやすいのですが、それは小さな変化を見逃しがちだからです。年を重ねると神経細胞が減少し、神経伝達速度が低下してしまうためさまざまな感覚が鈍くなってしまいます。小さな痛みにも気づきにくくなるため、放置して状態が悪化してしまうのです。
フットケアには医療行為と見なされてしまう対応もあり、その場合は介護士では対処できません。しかし、医師の許可があれば介護士でも対応可能です。特に注意したいのは爪のケアです。事故につながらないように、安全な姿勢で爪を切るようにしましょう。
フットケア指導士の資格を持っていれば個々の抱えている足トラブルを解消するために症状に応じた指導を行うことができます。フットケアの需要が高まっている介護業界にとって、欠かせない資格のひとつとなっていくことでしょう。
足は第二の心臓とも呼ばれていますが、それは血液の50%が下半身に集まっており血流が滞ると身体全体に悪い影響を与えてしまうからです。全身に新鮮な血液が流れるように、ふくらはぎや足裏がポンプの役割を果たしているため、足の状態を良好に保ち血液の循環を良くすることが大切です。
フットケアは正しい手順で行わなければ効果は期待できません。ここではフットケアの正しい手順についてまとめています。フットケアを行うタイミングやマッサージの仕方など押さえておきたいポイントも紹介していますので、しっかり目を通しておいてください。
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